スペシャルバージョン、ここが楽しみ | ■RED AND BLACK■レ・ミゼラブル2015日記

スペシャルバージョン、ここが楽しみ

日本のレ・ミゼラブル2000回公演達成、おめでとうございます。


これを記念して1週間続く、スペシャルバージョン公演。何が楽しみなのかと聞かれたら、「キャスト全員、舞台全部」というのが一番正直な回答になるだろう。それでも特にどんなところ? と食い下がられたら、たぶん「斎藤晴彦さんと、アンサンブルの人たち」と答えると思う。


斎藤晴彦さんは、私が初めて自分の意志でチケットを買って観たストレートプレイに出演していた。2003年のレ・ミゼラブル帝劇公演が終わった秋、パルコ劇場で上演された「ウーマン・イン・ブラック」というイギリスの翻訳劇で、上川隆也さんとの二人芝居だった。「青版CDのテナルディエが出ているのね」という程度の軽い気持ちで出掛けたのだが、驚いた。わずかな小道具の一つである籐のボックスを、ある時は机に見立て、別の時は馬車に見立て、時間も場所も自在に操り、劇場全体をミステリーの世界へじわじわ引き込む斎藤さんの手腕。帰り際には、舞台という生き物の魅力が強烈に刷り込まれてしまっていた。


そんな斎藤さんは、後進の指導にも熱心だと聞く。日本版「レ・ミゼラブル」オリジナルキャストの演技や稽古に、今年のアンサンブルの人たちはどのような影響を受け、舞台にどう現れてくるのだろうか。24日の2000回目の公演で最初の答えは出ているのだろうが、自分がどんな感想を持つのかはまったく予想がつかない。