上原アンジョルラス、3つの変化 | ■RED AND BLACK■レ・ミゼラブル2015日記

上原アンジョルラス、3つの変化

いま観てきた上原アンジョ、何かが変わった。

2006-2007年の岸アンジョ の面影を、ほんのりと感じるんですけど…。兄貴な熱血漢ぽさが垣間見えて。

まずは“熱”。ABCカフェのとき「今日、なんか違うかも」と思った。それは野島マリウスを「♪自分のことより~」と説得するときのこと。「♪民衆のために~」で腕を客席に向けて伸ばし、観客を民衆に見立てて視線を遠くにやる所作は、骨太な岸アンジョの演技そっくり。これまで観た上原アンジョにはなかったと思う。動きじゃなく歌声と視線で心を奪うアンジョルラスだと思っていたから、これはプチ衝撃だった。

次は“マリウスLOVE”。「♪恐れるな信じるのだ」のときだったかな? 野島マリウスの肩に手をかけて絆を確かめるようにしていた。なんてことはない動きなんだけど、ふたりの間には、兄が弟を想うような特別感が流れていた。いま思えばもしかしたら上原アンジョは、コゼットを想いながら戦うマリウスに、自分とは違う運命が待っていることを無意識に願っていたのかもしれない。

最後、一番驚いたのは“「彼を返して」の立ち姿”。今日の上原アンジョは、いつものようにバリケードの上で座り込んではいなかった。砦の向こうを見つめながら背中を見せて立ち、傍らの赤旗を小さく握っている。歌が「♪まるで我が子です」に差し掛かったあたりかな、旗を握る手にさらに力を込め、祈るような姿を見せたのは。うわぁ。これも、同じシーンで赤旗を心の拠り所としていた岸アンジョを彷彿とさせる。

公演残り1ヶ月を切って、上原アンジョに何が起きているのか。変化を目撃してしまって、動揺している。