■RED AND BLACK■レ・ミゼラブル2015日記 -4ページ目

昨日千秋楽だったひとのこと

野島マリウス、素直な想いがつづられたカフェソング、なんだか心に響いてきた。「友達は大事はしないとな」と思わされたわ。終演後のあいさつ、控えめながらいいこと言ってたよね。一言ごとに、後ろで聞いてる上原アンジョがいちいちうなづいてたのが、まるでABCカフェのマリウスとアンジョルラス。

折井コゼットの意志を感じる「♪呼んだ」が好き。 男気あるあいさつが意外だったけど、この人演じるコゼット像と通じるところあるかも。

KENTAROジャベールは前方席で観ると、屈折したキャラが映しこまれた表情が魅力的だった。自殺シーンの前段「♪獲物に借りを作って~」あたりでステージ狭しと動き回るので、スポットライトがなかなか追い付かなかったこともあったっけ。

砦の上レポート 3

昨日の上原アンジョ、今井バルジャンの「彼を返して」が「♪月日の波に追われてやがて私は死ぬでしょう」に差し掛かったあたりで、砦のてっぺんに腰を下ろしたまま、すーっと視線を上げ、遠く空を見つめる。死という運命が見えたのか。

6/7ソワレメモ

●一番書いておきたいのはアンジョの死の直前、グランテールとの場面のこと。撃たれたマリウスのそばを離れ、砦を再びかけ上がっていく直前、グランテールと向き合った上原アンジョルラス、彼に何か言葉をかけていたよね。だって唇が言葉のかたちに動いていたもん。具体的に声をかけているアンジョは初めて見たから、こちらもびっくりして思考と視線が止まったわ。何て言ってたんだろう……あえて想像しない。



●ラブリィレイディの「そよ風」!!(笑) 宇部フイイが「♪そよ風 吹いてもおったつぜ」で見せつけているところめがけて、向かいにいた田村ブリジョンがフッと息をふきかけてやってそよ風吹かせてるの。いいわ~。今期のこのシーン、どの役者さんも熱入ってて面白いんだけど、今日の演技が一番ウケた★★

●上原アンジョ、自信がみなぎってきたね。どのシーンでも。ABCカフェでもワンデイモアでも、「最初から笑顔エンジン全開」というのとは違って、「だんだん笑みが満ちてくる」のが彼の心の有り様を映しているよう。

●今期ラスト今×今を目に焼き付ける。あんなに緊迫する「対決」って、他にあるか。全編を通して、今井バルジャンのあたたかな父性が今ジャベールの頑な生真面目さをきわだたせ、今ジャベールの脆さが今井バルジャンの無償の愛に生きる強さを浮かび上がらせる。この二人の組み合わせでないと見られない、バルジャンとジャベールのドラマがある。

今日マチネの小ネタ集

●大津ジョリの乙女な「うっとり」

 上原アンジョの「♪群れとなりて~~」が響き渡ったとき、大津ジョリは両手を交差して胸にあて、目をつぶってうっとり聞きほれているの。もう、ほぼ乙女! かわいい!


●土屋グラン、 何度も酒を差し出してあきらめない

 「♪死など無駄じゃないのか 偽りじゃないか」と疑問を呈して上原アンジョに酒瓶を差し出すも、受け取ってもらえない。拒まれているのがわかっていても、2度、3度と酒瓶を差し出し、アンジョに向かい合っていく。今日に限った演技じゃないけど、届かない思いをあきらめない姿勢に毎回共感する。

  

●上原アンジョと赤旗

 (6/7に再度上原アンジョ見て、書くべきことを思い出しました)

一幕ABCカフェの「♪彼の死に燃える炎 民衆が立ち上がるとき」で赤旗をつかんで掲げ、二幕の「♪それでも僕らは恐れる市民を見捨てない」で再び、赤旗をつかんで掲げて見せた。赤旗は、自分の想いというより、仲間と市民の想いの象徴なんだね。

 (でも6/7の上原アンジョは、二幕の上記シーンで同様に赤旗を掲げることはしてなかった)


●上原給仕とマダムの羽

 フォークを盗もうとする阿知波マダム、頭上のでっかい羽飾りを、近づいてきた上原給仕の顔にこすりつける。上原給仕、鼻がむずむずして思わず目をつぶってしまう。そのすきにマダム、フォークをドレスに隠してスタコラサッサと逃げてしまった。この演技、ふたりのアドリブ? だったらすごすぎ!

砦の上レポート 2

「彼を帰して」が流れる砦の上での上原アンジョは、毎回違うことをしているので、最近の注目ポイントになっている。きょう日曜のマチネでは、がっくりと肩を落として座り込んでいた。そして何かを否定するか振り切るかのように、小さくかぶりを振った。しばらく砦の向こうを監視することもしないで。やがて視線を遠くにやり、立ち上がって「♪ 市民は来ない~」に続いていったんだけど、上原アンジョがあのとき何を否定しようともがいていたのか、いまでも気になる。


砦の上レポート  (1回目)

ばちっとハマった感じ

昨日土曜のマチネは、今年の通常キャスト版で観た中でいちばん濃ゆい印象。これまで、登場人物の心のつながりが今一つしっくりこない部分があったけど、それがばちっとハマって舞台からひとつの大きな力が立ち上がってきた感じ。いろんなキャストみてそれを感じたけど、ここではマリウスとアンジョの話を。

育三郎マリウスのあふれゆく感情過多っぷり、好きだな。グランテールに「堅物」とからかわれてカッとなり、勢いよくつかみかかっていくものだから、上原アンジョも内心驚いたのか目が離せなかった様子。プリュメ街では「♪天使たち」がほんとに育三郎マリウスの周りを飛びまわってそうなテンションの高さで、エポニーヌをぎゅうぎゅう抱きしめてしまったり。でも、震える声のカフェソングはABCの友の姿を窓や床に描き出すかのごとくで、オンマイオウン並みに切なかった。

上原アンジョの昨日の鬨の声、空に届いてた!空を見上げるときに見せた、希望に澄み切った笑顔を目撃して、確信した。ワンデイモアでも、いつもより笑っていたよね。ガブちゃんが死に際に砦に投げたカバンは、マリウスからアンジョへと手渡されていた。それを胸に一瞬ぎゅっと抱きしめた上原アンジョ。ああ、仲間みんなの想いが演技に乗って、つながっている。


カーテンコールでも気持ちのつながりを感じる一幕が。一緒に退場しようとしてたコゼットを別所バルジャンに取り上げられ、みんなが去った舞台に独りで取り残されそうになった育三郎マリウス。そこへ袖から上原アンジョが駆け寄ってきてマリウスの肩を抱き、二人で仲良くはけていった。役柄そのままなキャラが垣間見えたワンシーンに、思わずほっこり。

それで今週、上原アンジョを観てどうだったのか

21日に上原アンジョを観たけど 一言で印象を表すことができなかったから、今週も観て、いまの彼を象徴する言葉を探してみた。

……わからん。

一連の演技の中でときどき「混じり気」を感じる場面があるから、上原アンジョらしさがもやもやと紛れて見えなくしまうのかもしれない。はっきり書いちゃうと、ABCカフェのシーンでそれが顕著なように思う。

少し前に観たときは「♪自分のことより~」で一生懸命マリウスを説き伏せる仕草に岸アンジョの兄貴っぼさが 入ってるなと思ったけど、今週観たら「♪鬨の声 空に届こう」で空中を指すポーズが原田アンジョ そっくりで、あの青白い若さがフラッシュバックした。

過去のアンジョ役者と同じ動きなのは、別にいい。だけど同じ印象で終わるのは、物足りない。だって、上原アンジョ色に塗り返された世界に観客は生きているのだもの。

小言を並べたけど、原作読みながらアンジョルラスのシーンでイメージを重ねるのは他の誰でもない上原アンジョだし、舞台観て心の震えが止まらないのも上原アンジョ。完成されてないけど、好きだ。そうか、「未完成という魅力」こそ、いまの彼にふさわしい言葉なのか。

今×今 ゆるめな感想

今日の今×今は良かったな~

キャストスケジュール見て、心待ちにしてたんだ。

バルジャベふたりに視線をじぃ~~~っと貼り付けて観たわ。


「対決」で、今ジャベはなんであんなに相手の身体すれすれに警棒をぶんぶん振りかざせるのかしら。一切ひるまぬ今井バルジャンの怒りモードも炸裂して、真正面から「♪考えろジャベール! おーれーの ちーかーらーを!」とぶつかりあう。両者の気迫、はっきり言って恐ろしかった!期待以上に。


今井バルジャンが椅子を壊して手にした棒を投げ放したとき、今ジャベがあざけるように笑ってたのが不気味。「フッ、それがどうした」とでも言いたげに顎を縦に振って。ああ~、こんなふうにジャベールを表現してくるとはね。今ジャベール、世界に輸出したいくらい好きだ。2003年の初ジャベから観てるけど、年々好きになっていく。


でも実はこの場面、気がそれちゃったところもあって…。それは今さんの「♪牢獄で ジャベール!俺は生まれた」が、なぜか「♪両国で…」と聞こえてしまったから。両国国技館に相撲ののぼりがたくさん立っている風景が頭に浮かんで「ジャベールって下町生まれっぽいから、歌詞が『両国』でも違和感ないかも」とか考えてしまったわ。真面目なシーンなのに、いけないわ。


見どころ、もっとあったんだけど、「対決」だけでも語ることありすぎるな。今×今は。


あ、これだけは書いとかないと!「ワンデイモア」。舞台の右にいる今井バルジャンと左にいる今ジャベールがそれぞれ祈りを捧げるタイミングが、ほぼ重なっていた。全然違うことを祈っている、実に対照的なふたり。なのに、何かがつながりあっているふたり。つながりは何だろう。ジャベールの心にもバルジャンの心にも、光と影があるということか。「光」がバルジャン、「影」がジャベールというのではなく、両者の心にあるふたつの要素が、出会うたびに入れ替わっていくような関係なのかもしれない… そんなことを思わせる光景だった。


今期はもうこの組み合わせないのかな…


★おまけ

昔の「今×今」日記を発見。書いてるシーン、ほとんど同じだ…。

http://ameblo.jp/redandblack/entry-10011457659.html


★関係ないおまけ

本棚を整理してたら文庫本にこんなのが挟まっていたを発見。帝劇でもらったポストカードのような気がする。

手前が伊藤グランテールなのはわかる。アンジョルラスはだれだろ? 東山アンジョ?


■RED AND BLACK■レ・ミゼラブル2011日記-20周年はがき


風格アンジョと、もうひとり

土曜は上原アンジョを昼観たあと、夜は岡アンジョルラス。

新キャスト&SPキャストをマチソワしたらどんな発見があるかしらと思ってこの日の観劇予定を立ててみた。

結果、岡アンジョには「風格」という言葉がしっくりときた。「♪殺せ肥えた豚どもを築け今バリケード!」という呼び掛けを聞いて、心はやるというよりは、その雰囲気と佇まいに知らず知らずのうち飲み込まれていってしまう。

じゃあ上原アンジョは…何だろう。ひとつの言葉でくくれない印象だった。「民衆の歌」と「ワンデイモア」で堂々と胸張る姿の美しさに惚れぼれし、最後ガブちゃんのカバンを高々とかかげるポーズに「そうくるか」と複雑な思いになり…。これまで使っていた「カリスマ」という表現だけではくくれない多面性が見えた。うーん、これは来週も観ないと。

男二人きりの背中がかっこいい

こないだの別所バルジャン×鹿賀ジャベールで「うわ、かっこいい~」と見惚れちゃった場面。

「♪不思議だ信じられない」から始まる会話でのこと。二人は背中合わせになって、バルジャンは舞台斜め奥を、ジャベールは客席方向斜め下を向いている。でもどちらも見ているのは前方ではなくて、後ろにいる相手の存在。背中で感情を探りながら言葉を交わす二人の立ち姿に、しびれた。

鹿賀ジャベのいぶし銀のオーラが為した業のような気がする。

そういえばバルとジャベが舞台に二人きりになるのは、このシーンだけかも。似たような場面はあるけど、そこには無言のファンテやマリウスがいたりするもんね。椅子もテーブルもバリケードもなく、暗がりに男二人が立ってるだけで、観客を魅了してしまうこのシーンにも、演じる役者にも、惚れる。